エピローグ|空船の引き寄せ方1

アゲハ:おい!こりゃ何だ、生焼けじゃん!

 

カウリ:…… 小枝で刺したら入っていきましたよ

 

アゲハ:お前の力で刺しただけだ!

 

カウリ:焦げたわけじゃないしそのまま食べて下さい

 

アゲハ:ちっ、サツマイモも焼けない時鬼野郎。

 

カウリ:先生は全部焦がすじゃないですか

 

アゲハ:……だから俺たちが一緒にいるわけか

 


 

神源の奥深く、「塩の森」

 

 

妖魔 :ああ、もう! 神源の中心よ!

    塩はもう取らないで、頼むから!

 

アゲハ:げっ、バレた

    神源にあるものは全部俺ので塩の森の塩も全部俺のだろ?

 

妖魔 :そりゃ勿論! 神源の中心のだ!

    ここの全てがあんたのものだが!

    売って食えと言う事ではないと何故にわかってくださらぬ!

    この森の塩はとても特別で神聖なのですぞ!

    ここの塩で言えば、昔、昔はるか昔に海で生まれた古い天神が...

 

アゲハ:生まれたのにどうして古いんだ?

 

妖魔 :いや、生まれた天神が古いという意味です!

 

アゲハ:そうなんだ~ほい!

    残りの話は後でしてくれ!

 

妖魔 :待ちなさい神源の中心よ!

 

 

雨和院を離れて旅を始めてから、

もう3年になろうとしていた

 

会いたい人達がいるけど、

どうしてもそちらに向かえなかった。

 

またどんな理由であれ縛られるかもしれないという恐怖が

しきりに立ち塞がって、

それで。

 

しかし、

 


 

カウリ:今度は本当に雨和院に行くんですか?

 

アゲハ:行かないと。これ以上先送りできない。

    水神会の問題を解決しなきゃ。

 

 

手紙を一通受けとった。

「川の真ん中に一艘浮いてる空船」

「それ引き寄せるにはするどうすべきか? 」

差出人の名前は...

水神会首長、態人魚 ジュラン

 

アゲハ:放浪してる俺達にどう手紙を出したか分からないが、

    四神会首長だしどんな手でも使ったんだろ

 

カウリ:言ったでしょう、

    水神会首長の体には神源入口の召喚霊が入ってます

 

アゲハ:ああ。半分位は修羅のせいだが、残りの半分は俺達のせいだし責任をとろうと

    でもその為には雨和院の助言が必要だ。

 

カウリ:ここからはかなり遠いですが。旅費は足りますか?

 

アゲハ:だから~商売をしなくちゃ!

 


 

[空神会]

 

アゲハ:さあ、さあ! 塩ですよ! 塩を買って下さい!

    神源から取れたての霊験あらたかな塩!

    とても貴重で神霊が守っていた塩! とてもしょっぱい塩!

    しょっぱすぎて幽鬼も逃げる塩!

 

村人 :神源から持ってきた塩?

 

村人 :そんなの信じられるか

 

アゲハ:あ~私の目を見てください。青いでしょう!

    これが幽鬼を見る青銅鏡眼です!

    私が雨和院を卒業して斯道山河神源まで巡って巡って巡り~

    なんと神霊が守る塩森を発見して!

    これがまさにそこから汲んできた塩です!

    これ見て下さい!

    色合いがすでに違うでしょう!

 

村人 :森でどうやって塩が出る?

 

アゲハ:あ~その塩の森といえば遙か昔に海で生まれた古い天神が...

 

カウリ:……

    森に海水を吐いて...

 

村人 :何... ? 吐いて... ?

 

アゲハ:あ… 天神が吐いたものだから汚くないです!

 

村人 :……

 

村人 :…

 

村人 :えい、この詐欺師どもめ!

 

アゲハ:いや、

 

村人 :どこで詐欺を働こうと!

村人 :ふざけた真似を!

村人 :さっさと消えろ!

村人 :村から出て行け!

村人 :詐欺師どもめ!

 

村人 :ありゃ何だ! め、目が!

村人 :ひゃあ…!

村人 :時、時鬼だ!魔物だ!

 

 

アゲハ:はは… この村で商売は無理だな

 

セスル:馬鹿なやつ、商いを誰がそんなふうにするよ?

 

アゲハ:セスル!

 


修正日:2023/10/03



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